庭で弱っている野鳥の雛を見つけたのですが、どんな食事を提供すればいいのか悩んでいます。
また、野鳥の飼育は法的に問題があるのでしょうか?
助けを必要としている雛を放っておくわけにはいかないと思います…
この記事では、野鳥の雛を見つけた場合の適切な対処法や注意点について詳しく説明しています。
【野鳥の雛の育て方】成長段階別のケアと注意点
野鳥の雛を見つけた際、特にヒヨドリの場合、成長段階によってケアの方法が異なります。
生まれたばかりの雛と巣立ち前の雛の栄養と保温方法を確認しましょう。
生まれたばかりの雛のケア
栄養補給
空腹期間が長かった雛は非常に弱っている可能性があります。
まずは栄養を補給してあげましょう。補液の提供がおすすめです。
補液の種類と与え方
補液の例:薄めたスポーツドリンク、豆乳、薄めたベビー用粉乳、砂糖や蜂蜜を混ぜたぬるま湯、薄めたブドウ糖液、生理食塩水、新鮮な水
補液の温度は人肌よりもやや温かく、1~2滴をスポイトや箸の先で与える。口の中に直接入れないよう注意。
臨時エサの提供
エサが食べられるようになったら、臨時のエサを用意しましょう。
適切な臨時エサ
例:ミールワーム、すり餌、ゆで卵の白身(蜂蜜や砂糖混ぜ)、インコ用雛餌
避けるべきエサ
例:パン、ご飯粒、粟玉、牛乳
保温方法
特に丸裸または産毛のみの雛は、体温管理が重要です。適切な温度を保つ方法を確認しましょう。
保温のポイント
例:タオルに包んだ温めたペットボトル、ペットヒーターや電気スタンドの使用、室温維持
注意:湿度や脱水状態に気を付ける。電気アンカや使い捨てカイロの使用は避ける。
巣箱の準備
適切な巣箱の準備が必要です。鳥籠は避け、自然な巣に近い環境を作りましょう。
巣箱作成のコツ
例:プラスチック容器にわらや新聞を敷く、タオル使用禁止、ダンボールで保温、光を通す布をかける
これらの情報を参考に、適切なケアを行いましょう。
雛の成長段階に応じたケアのポイント
巣立ち前の雛を適切に保護するためには、その成長段階に合わせた栄養補給と保温の方法が重要です。
栄養補給の基本
保護された雛はしばしば栄養不足である可能性が高いです。
最初に行うべきは栄養の補給です。消化吸収の良い補液を提供しましょう。
補液の種類と方法
補液の例:薄めたスポーツドリンクや子供用サプリメント、豆乳、薄めた乳児用粉ミルク、蜂蜜や果糖を混ぜたぬるま湯、薄めたブドウ糖液、生理食塩水
与え方:人肌程度に温め、1~2滴を口の端に付ける。気管に水分が入らないよう注意。
臨時のエサ
雛がエサを食べられるようになれば、臨時のエサを与えましょう。
適切な臨時エサ
例:小さめの昆虫(アオムシ、緑色のバッタ、コオロギなど)、ミールワームの身体部分、すり餌、ゆで卵の白身(蜂蜜や砂糖混ぜ)
避けるべきエサ
例:パン、ご飯粒、粟玉、牛乳
保温の重要性
雛は羽が生えそろうまで体温調節が難しいため、適切な保温が必要です。
保温方法
例:タオルで包んだ温水ペットボトル、ペットヒーターや電気スタンド
注意点:濡れている場合は先に拭き、人の体温では温めない。室温は26℃以上を保ち、湿度も管理する。
巣箱の作成
体温調節が難しい雛には適切な巣箱が必要です。
巣箱の作り方
必要な材料:プラスチック容器、わら、新聞、細かく切ったティッシュ
作成手順:容器に材料を敷き詰めて、巣に似せる。タオルの使用は避け、ダンボールに入れて保温する。
光を通す布で覆い、薄暗く静かな環境を作る。
これらの指針に従って、巣立ち前の雛に最適なケアを提供しましょう。
怪我をした雛の対処法
怪我をした野鳥の雛を見つけた場合、以下のステップを踏んで対処しましょう。
連絡先の確認
県の野生動物保護担当部署、地域の動物保護施設、動物園、または近くの動物病院に連絡して指示を仰ぎましょう。
意識状態の確認
意識がない雛を見つけた場合は、無理に動かしたり水を与えたりしないでください。専門家の指示を待ちましょう。
意識がある場合の水分補給
意識がある雛には、その成長段階に合わせて水分を与えることが重要です(「生まれたての雛の場合」の「栄養補給方法」参照)。
日射病や熱射病の場合
日射病や熱射病に見舞われている雛は、保温をせず、涼しい場所(冷房ではなく、日陰など)に移し、体温を徐々に下げてください。
巣立ち後の雛の対応
地面にいる小さな雛を見つけた場合、すぐには保護せず状況を観察しましょう。
巣から落ちた場合は保護が必要ですが、巣立ちの過程である場合は保護しないようにしましょう。
巣立ちは雛が飛び方を学ぶ重要な時期です。
これらのガイドラインに従って、怪我をした雛に適切に対応しましょう。
夏の野鳥の巣立ち期間
7月から9月は、多くの野鳥が巣立ちの時期を迎えます。
巣立ちの過程
巣立ちとは、雛が孵化後約10日で巣から地面に降り、次の約2週間を地上で過ごしながら飛行のための筋肉を鍛えたり、飛ぶ技術を習得する期間です。
巣立ち後の行動
一度巣立ちした雛は通常、再び巣に戻ることはありません。
対応の仕方
地面にいる雛が巣から落ちたのではなく、巣立ち中であると判断した場合、積極的な保護は避け、自然のままに見守ることが望ましいです。
保護者ができること
雛が野生動物やペットに襲われないよう、適切な距離で見守り、必要に応じて安全を確保する程度の対応をとるとよいでしょう。
この知識をもって、夏の野鳥の巣立ち期間に遭遇した際に適切に対応しましょう。
ヒヨドリの雛の保護基準と識別方法
ヒヨドリの雛を保護する際の基準と、巣立ちの雛と巣から落ちた雛の見分け方について説明します。
保護の基準
ヒヨドリの雛の保護が許可されるのは以下の二つのケースです:
雛が巣から落ちている場合、迅速な対応が必要です。栄養補給を行い、可能であれば巣に戻してあげてください。
巣立ちの雛が怪我をしている場合も保護が必要です。
巣立ちの雛の特徴
羽がほぼ完全に生えているが、翼の下や尾部に産毛が見えることがあります。
尾羽が短く、体型がふっくらしている。口ばしの端にはまだ黄色や白色が残っている。
歩いたり、跳ねたり、羽ばたいたりする動きを見せる。通常、巣の近くに親鳥がいないことが多い。
巣から落ちた雛の特徴
丸裸で羽がない、または産毛が目立ち、体型が細弱で弱々しい。走る、跳ねる、羽ばたくなどの動きが見られない。
巣が近くにあり、親鳥が騒いでいることが多いが、捕食者によって連れ去られ、途中で落とされた可能性もあります。
これらの基準を理解し、遭遇した際には適切な判断と行動をとることが重要です。
ヒヨドリの一時保護は可能、飼育は禁止
野鳥の飼育は法律で厳しく制限されています。ヒヨドリ、スズメ、ツバメなどの野生の鳥を捕獲し飼育する行為は、鳥獣保護法により禁止されています。
例外的な一時保護
しかし、怪我をしたり弱っている雛の一時的な保護と、後の野生への返還は許可されています。
保護後の対応
保護した雛の初期ケア(エサやり、保温など)を行った後、地元の自治体や野鳥保護施設に連絡して指示を求めましょう。
放鳥についての指示
保護施設や担当機関から、放鳥までの一時的なケアを依頼されることもあります。
長期保護のリスク
しかし、公的な許可なく長期にわたって鳥を保護し続けると、飼育とみなされ、違法行為となるリスクがあります。
このガイドラインに従い、ヒヨドリを含む野鳥を適切に保護しましょう。
ヒヨドリを自然に戻す際のポイント
ヒヨドリを一時的に保護していた後、自然に戻す行為を「放野」といいます。放野には特別な注意が必要です。
放野のタイミング
ヒヨドリが成鳥の羽色に変わるまで待つのが理想的です。
この時期は、ヒヨドリが自然界で生きていくために必要な能力を身につけている時期です。
慣れすぎの対処
ヒヨドリが人になじみすぎている場合、地方自治体や専門の施設に預け、放野を専門家に任せるとよいでしょう。
専門家による判断
放野の適切なタイミングは、ヒヨドリの健康状態や成長具合によって異なります。
専門家ならこれらを適切に判断し、適切な時期に放野を行ってくれます。
親鳥の存在
保護した場所に戻ると、親鳥が近くで雛を探していることがあります。その場合、元の場所で放野すると自然に親子が再会する可能性があります。
これらのポイントを踏まえ、ヒヨドリの放野を適切に行いましょう。
まとめ
ヒヨドリの雛を保護する際の適切な対応方法をまとめました。
雛の保護の必要性
弱っているヒヨドリの雛を見つけた場合、放置するわけにはいかないでしょう。初期のケアは特に重要です。
保護の難しさ
雛のエサやりや保温は、手間がかかる作業です。世話をする際は注意と愛情が必要となります。
専門家への依頼
自身での保護が困難な場合は、野鳥の専門施設や地元の自治体に連絡し、適切なアドバイスやサポートを求めましょう。